気になる数字をチェック! 第20回 「氷点下50度」(-50℃)
今年もこの季節がやってきました。冬のお祭りイベントといえば、北海道札幌の「さっぽろ雪祭り」! 世界中の多くの人々に愛される、日本の冬を代表する行事となりました。
今年は、28年2月5日(金)から2月11日(木・祝)の7日間の開催です。(※つどーむ会場については、2月18日(木)までの14日間)
さて、白銀の世界となる北海道の中でも雪や氷を語るとなると、この施設を外すわけにはいきません。
「北海道大学低温科学研究所」。
昭和16年(1941)に設立され、今年でなんと創立75周年を迎えます。「低温科学」という学問領域は物理学・化学・生物学・地球惑星科学・海洋学・植物学・気象学・環境学など広大な学問分野が連携し構成されています。
この研究所、さまざまな設備も整っていますが、中でも特筆すべきなのは氷点下50度!の超低温保存室。(ちなみに日本の最低気温記録は北海道旭川市の氷点下41.0度です)。ここまで低温なのは、国内で2施設、そして世界でも2施設しかありません。
この低温室には、南極のドーム富士基地から持ち帰られた氷床が変質しないよう長期保存されています。この氷に閉じ込められ数十万年経っているガスなどを研究することで、長期間における気候変動の研究などに活用されています。
また、氷のメカニズムを分子レベルで解析し、新たな顕微鏡技術を開発して成長変化を観察できるようにするなど、国内外をリードする研究拠点となっています。
さて、歴史と実績のあるこの研究所ですが、最も有名な研究者を挙げると、中谷宇吉郎博士(1900-1962)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。「雪は天から送られた手紙である」という言葉で知られ、雪氷学の基礎を築いた物理学者です。
教授となった1932年(昭和7年)ころから雪の結晶の研究を始め、1936年(昭和11年)3月12日には大学構内の低温実験室にて人工雪の製作に世界で初めて成功。気象条件と結晶が形成される過程の関係を解明しました。他にも凍上や着氷防止の研究など、低温科学に大きな業績を残しました。また、研究のかたわら美しい書画を幾枚も描き、「雪」をはじめ多くの随筆を書き残しました。
その業績をたたえ、昭和54年7月、低温実験室があった場所(“ファカルティハウス・エンレイソウ”の玄関前東側)に、 角板型雪結晶をかたどった六角形の石碑が建てられました。(石碑の隣に札幌市北区役所が設置した 「人工雪誕生の地」の説明板には、当時の実験の様子が紹介されています)