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気になる数字をチェック! 2 『500 リットル』

Blog 2013年11月12日

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第1回でウシの話題が出たところで…、「500リットル」を取り上げてみる。

500リットルは、ウシが1日にするゲップに含まれるメタンの量。1頭のウシは1日のゲップで300~500リットルのメタンを排出するそうだ。メタンは地球温暖化ガスとして知られている。つまりウシのゲップは地球温暖化を進めてしまっているらしい…。

小林先生

そこで、北大大学院農学研究院教授の小林 泰男先生(家畜栄養学研究室)に聞いてみた。地球温暖化に関与する温室効果ガスは二酸化炭素やメタンであるが、メタンの温室効果は二酸化炭素の25倍という。世界には30億頭ほどウシやヒツジ、ヤギなどがいて、温室効果ガスは自動車など人間が出すものも全て含めて、4%はこれら家畜のゲップに由来するという。ゲップ由来のメタンのうち、4分の3はウシだそうだ。1頭のウシが1年間に出すメタンの量は、1台の乗用車が1年に1万km走って排出する温室効果ガスに相当する。畜産立国であるニュージーランドでは、国内で出される温暖化ガスの30%が牛と羊のゲップから排出されるメタンガスという。

草を食べるウシは胃の中に住む微生物の助けを借りて栄養を取り込んでいる。これらの微生物の一部のものが水素を利用してメタンを作っている。穀類の多い飼料だとメタンは少なく、草を食べるウシはメタンが多いとのこと。因みに草を食べているウシの牛乳の方が脂肪分が多くて美味しいのだそうだ。草を食べさせている北海道の牛乳は、脂肪分4%を超え、美味しいとか。北海道の牛乳を飲みましょう

小林先生は、出光興産との共同研究で、ウシから出るメタンを減らす飼料を開発した。抗生物質を含有しない飼料を検討していた時に、カシューナッツの殻から取れるオイルに抗菌性、制菌性を見出し、実験してみたところ驚くほどメタンが減ったので、飼料化を試みたのだそうだ。国の研究機関の協力を得て正確に測定してみると、このオイルを配合した飼料を食べたウシは、個体差はあるが20~40%もメタンが減ったという。

ウシの胃や腸にいる微生物の9割は、何をしているか分かっていないのだそうだ。特に酸素があると死んでしまう胃腸管微生物は、遺伝子の配列を調べることでどんな種類かは見当がつくものの、どんな役割を果たしているかは不明とのこと。先生の研究室には嫌気チャンバーがあり、嫌気性菌の培養もできる環境にある。今、嫌気性菌に取り組む研究者は少ないのだそうだ。取り扱いが難しく、培養に時間もかかるので根気も必要とのこと。

嫌気チャンヴぁー

嫌気チャンバー

以前、このチャンバーの実験から新しい酵素の発見に繋がった例もあるので、研究者を目指す方は注目してみては如何だろうか。