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北のDreamMaker VOL.2 一家に一台、3Dプリンター時代? ハンディー3Dスキャナー登場!/ 株式会社ノア 取締役 北海道技術開発センター 長枝 浩さん

Human 2014年5月2日

北大R&BPの歩みを紹介する「北大R&BP体験記」。

第二回は株式会社ノア 取締役 北海道技術開発センター長 長枝 浩さんにご登場いただきました。

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近年、3Dプリンターは一般ユーザも購入可能な低価格な製品の登場と共に知名度が上がっている。
しかし、その一方で、課題となっているのが3Dデータの作成。3D-CADによるデータ作成には、ある程度の経験が必要であり、スキルの取得には時間が必要とされる。また、既存の物体のスキャニングにより3Dデータが取得可能な3Dスキャナーは、高価で撮影も煩雑なものが主体で、中小企業や個人ユーザーへの導入には壁があった。

3Dデータをもっと簡単に作成したい、というニーズから生まれたのが、株式会社ノア社のハンディ3Dスキャナー「Hapimo:3D(ハピモスリーディー)」

Hapimo

3Dデータを作成するには、通常、対象物を、角度を変えて撮影するが、コンパクトでハンディなこの商品は、デジカメ感覚で簡単に撮影が可能。
撮影した3Dデータは、デジタルカメラと同じように、その場で簡単に確認できるので失敗も少ない。
さらに、動いている対象物も瞬時に撮影できるので、撮影場所や対象物を選ばす3Dデータの取得が可能。

この画期的な商品を製作した株式会社ノアは、元々印刷機に組み込むソフトウェア開発を行うために起こされた会社である。
本社は茨城県つくば市、平成23年から北大ビジネス・スプリングに入居している。

このたび、その3Dスキャナー「Hapimo:3D(ハピモスリーディー)」の開発にまつわるお話しを株式会社ノア 取締役 北海道技術開発センター長  長枝 浩さんに伺った。

開発に至るまで

Q:そもそも3Dスキャナーに携わったいきさつを教えてください。
A:太田社長が、それまで下請け会社でしかなかった株式会社ノアの自社製品を開発しようと考えたのがきっかけです。そのときに太田社長が面白そうだと考えたのが3Dスキャナーであり、様々な協力者の存在もあり、開発を開始することができました。

Q:開発に携わったときから、すでに3Dプリンターを意識されていたのですか?
A:3Dスキャナーの開発に着手した時点では、3Dプリンターについてはあまり知りませんでした。

Q:開発に当たってどんなご苦労がありましたか。
A:それまで下請けが業務のメインだったため、自ら商品を開発していくというコンセプトが会社にありませんでした。会社の体制を商品開発に向けて変えていくところが苦労といえば苦労ですかね。

Q:具体的にはどのように変えていったのですか。
A:こんなことをやったら面白いのではないか、とできるだけその人(社員)の興味に添った、具体的な提案をするようにしていました。商品開発に向けて徐々に意識が変わってきました。

Q:意識改革の結果からこの3Dスキャナーが生まれたのですか?
A:当初は3Dスキャナーのカメラ部分に注力しており、3Dカメラを高精度に、かつコンパクト化することを目指しておりました。ただ、高精度にすれば価格が500万円近くかかるので、なんとかその1/10ぐらいにできないか考えておりました。

Q:開発した3Dスキャナーは25万円程度とのことですが、どうやって実現したのですか?
A:すべて自前で設計するのではなく、積極的に安価な市販品を採用し、自分たちが携わってきた3Dのソフトウェアや電子回路の技術を組み合わせました。また、スペックについても、精度を落とすことで格段に安価なデバイスが実現しました。

Q:製品化開発を開始してから商品化するまでどれくらいかかったのですか。
A:およそ半年程度です。発想を担当者に伝えてから試作品が出来上がってくるまで2ケ月程度でした。

Q:試作から商品化までのご苦労はどんなものがありましたか?
A:まずは、筺体(きょうたい)をどう作ろうか、ということでした。型を作ればいいのですが、それには1千万円程度かかる。とても投資できる額ではありませんでした。

Q:どのように解決していったのでしょうか?
A:いろいろな展示会に行って企業さんとお話ししました。そんな中、ノーステック財団が主催するビジネスEXPOに出展していたら、ある方が北大北キャンパスの工業試験場(※)の方を紹介してくれたのです。
※工業試験場:地方独立行政法人 北海道立総合研究機構 工業試験場
Q:実は目の前に解決策があったということですね。
A:工業試験場がなければ途方に暮れていたと思います。紹介してもらってからは、試行錯誤はあったものの、商品化にこぎつけることができました。

心強い助成や環境で

Q:まさに北大北キャンパスの利点を生かしたということですが、ほかに北キャンパスにいてよかったと思うところはありますか?
A:工業試験場と密にやるには最高のロケーションです。工業試験場にはかなり通いましたが、通うと言っても電話して、すぐに行けるわけです。相談に乗ってもらうにしても課金は発生しませんし、気軽に相談に乗ってもらえます。ほかの案件にも気軽に相談に乗ってもらえました。
また、北大の研究者の方にもいろいろ相談に乗ってもらうことができました。
もちろん、北大ビジネス・スプリングに常駐しているインキュベーションマネジャーの方にもお世話になりました。例えば、この商品をどう梱包するかについてまったくわからなかったのですが、その辺を得意とする企業を紹介してもらったことがあります。
とにかく、北大北キャンパスでは未知の領域をやろうとしているときに相談相手がいるのが有り難いです。一人ではなかなか難しい。

Q:国や自治体の補助金についてどういうものを活用されましたか? また、補助金にご要望がありますか?
A:工業試験場の方を紹介してもらった、ビジネスEXPOには北大ビジネス・スプリングの枠とサポイン(※)の委託事業の枠で出展させてもらいました。補助制度については、できれば製品化直前の段階で補助金があれば有り難いですね。まあ、そこは企業でやれということになるのでしょうが。
※サポイン:サポーティングインダストリー (ものづくり基盤技術) 

平成25年度戦略的基盤技術高度化支援事業(経済産業省(中小企業庁))

北の地でさらなるステップへ

Q:次のステップとして長枝さんが狙いをつけているのはどんなところですか?
A:3Dスキャナーの小型化とさらなるブラッシュアップです。この3Dスキャナーはカメラと同じなので、使ったお客さんがいろいろなアイデアを出してくれます。そういうお客さんからのアイデアを組み込んでいきたいですね。

Q:3Dカメラの開発は継続しているのですか?
A:継続しています。今の商品ではカメラの精度が低いので精度向上を目指しています。

Q:ところで、長枝さんは北海道のご出身ではないと伺いましたが、なぜ北海道に来られたのですか?
A:一言で言うと北海道に魅せられてしまったからです。私のような移住者は北海道には多いと思います。住環境、子育ての環境、自然の多さ、食べ物のおいしさなど北海道には様々な魅了がありますが、協力が得られやすいという意味では、仕事をする環境としても優れた場所だと感じています。

取材を終え

取材後、3Dスキャナーを使わせてもらった。

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カメラのように簡単に使え、しかも瞬時に3D画像が得られた。

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撮影した3D画像をクルクル回せます!

撮影してソフト上で合成をすれば3Dプリンターのデータが簡単にできるようだ。
今後、この3Dスキャナーと3Dプリンターの組み合わせにより、様々な製品が生まれていくのが楽しみだ。

株式会社ノア 

http://www.kknoa.co.jp/

Hapimo

printing

model

本社/〒305-0044 茨城県つくば市並木3丁目17-6 ロイヤルシティ並木

TEL/029-859-1577  FAX/029-863-2210

北海道技術開発センター/〒001-0021 北海道札幌市北区北21条西12丁目2
北大ビジネス・スプリング307
TEL/011-299-9757  FAX/011-299-9757

代表者/代表取締役 太田 初

設 立/1993年3月25日

資本金/1300万円

事業内容/機械・通信制御、Windowsアプリケーション開発

専門分野/孔版印刷機開発で培ったメカ機構制御・通信制御・ユーザーインターフェース開発および業務サポートアプリケーション開発